購入価格よりも安く売却したくない
こんな例を見ていると、実際に取り引きされる以前に表示されている価格とは何なのだろうかと思ってしまう。だから、新聞、チラシ、住宅情報誌、不動産業者の店頭、さらにインターネット上で示されている不動産の価格は、あくまでも売り主の「売却希望の価格」であると知っておくことが大切なのである。これは売買交渉のスタート価格としての目安にしか過ぎない。この売却希望の価格を決めるまでには、過去の類似物件での成約価格や物件周辺の需給状況などを調査して、さらに売り主の事情を加味して、とりあえずの価格として市場に売り主の意思を反映したかたちで出てくる。だから、売り主が最初に提示する価格は、実際の成約価格とは異なるのが通例となるのだ。最近では特に、売り主の希望価格は売り主のフトコロ事情によって大きく異なることが多い。「購入価格よりも安く売却したくない」とか、「(相続税評価額である)路線価以上では売りたい」とか、「すぐに現金が欲しいので、安くてもよいから売れる価格にしたい」しかし、売り主の事情がどうであれ、最終的な取引価格は双方の需給関係の強弱によって決まっていく。一般的には、バブル期のように価格の上昇局面であれば、売り主の希望する価格、すなわち「売り出し価格」で取り引きされることが多いし、価格下落の局面では「売り出し価格以下」で決まっていくことが多くなる。